2020年4月30日ローカルビジネス

新型コロナウイルス対策の融資活用事例:株式会社カデナデザインヴィレッジ 代表取締役 中山伸之さん

現在、Lagoonへの相談として多く寄せられている「融資」について、実際に新型コロナウイルスの影響をふまえて融資の制度をご活用された株式会社カデナデザインヴィレッジ 代表取締役 中山伸之さんからお話をお伺いしました。

融資に申し込むか迷っている」「必要な書類を揃えることを考えるとこのまま自己資金で・・・」と悩まれている方の参考になれば幸いです。

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プロフィール

ご経歴

東京でグラフィックデザイナーとして数社の制作プロダクションに勤務。

2005年:沖縄県IT企業誘致にあわせて那覇市にて起業。
沖縄に移住し、ビーチパーティーで知り合った仲間と業務をスタート。
マネージャーとして3年間勤務しながら主にデザイン業務をメインに内地クライアントの制作部署を担うが、需要に合わせWebサイト制作に業務をシフトする。

2008年:サービスを株式会社化しシステム開発業務をスタート。

2016年:東京支社を千代田区に設立。同年、本社を浦添市に移転。現在15期目を迎える。

事業内容

Webアプリケーション開発・Webサイト制作がメイン。
ITによる課題解決を武器に東京と沖縄、異なる2拠点を持つ特性を生かして地域イベントの企画や運営も行う。

社員は沖縄に7名、東京に6名の計13名。
▶︎詳細はこちらから:株式会社カデナデザインヴィレッジ

 

融資を受けるまでの流れ

Q. 決意されたタイミングは?

2月の時点ですでに取引先から、受託制作案件の延期やシステム利用料の相談というようなケースが数件続いたので危機感は感じていました。

3月にはクライアントの休業も増えたことにより、直近のキャッシュフローを他の業務で補うという形での見通しもなかなか難しくなっていきました。5%どころではない売り上げ減少は今後数ヶ月続くとその際に予想。税理士と相談し「金利優遇はピンチをチャンスに変える好条件」と捉え、融資に向け動き出します。

その際に「今のうちに借りておかないと、収束したときには借りられなくなるよ」というアドバイスを受けたことも融資を決意するきっかけのひとつでしたね。

Q. 融資がおりるまでの流れを教えてください

まず2月中にある程度の売上減少を分析して保守的な資金繰りを想定しました。
あわせて、相談できる経営者仲間とも最新の情報を随時共有していました。

「雨が降ってる時には傘を貸さない」と揶揄される銀行ではありますが今回は全くそのような印象はなく、むしろ外部ブレインのよう前向きなアドバイスをいただけてとても心強かったです。

 

ビフォアコロナと現在の違い

Q. 事業にはどのような変化がありますか?

もともと国内国外どちらもの旅行業に携わっているクライアントが多かったこともあり、渡航制限に伴う休業も相次いでいるのが現状です。弊社の旅行管理システムや、予定していた案件の失注による損害は甚大でした。

Webサイト制作・管理は、業種問わず多岐に渡るものの、依頼されていた制作案件の延期が増えています。

そういった状況のなかで、今ともに未来を考えているクライアントをより大切にするためにも「利他主義」を理念に抱えて経営の指針を改めて見直しました。

あわせて体制としてもリモートワークも2ヶ月目を迎え、オフィスを構える意味や通勤コストについて考える機会も多いです。これを機会に、業務体系全般を見直しています。

Q. チーム内で変化はありましたか?

社員は現在リモートでの勤務で行っています。曜日感覚や日にち感覚が薄れがちなので勤務日は「今日は○日○曜日です」といった挨拶から始まる朝礼を始めました。

もともとフレックス制を導入していましたがそれは現在も変わらず、また業務時間にいつ休憩とるかももちろん自由です。

クリエイティブな制作業務というのは働き方改革と相性が悪く、ビフォアコロナから「生産性と正当な人事評価」は経営の課題でもありました。

しかし、今回のコロナをきっかけに全員がテレワークを始めたことからいくつかの課題は改善されています。

その日の制作業務の内容が可視化できるようなクラウドツールを導入したり、以前より利用していたオンラインミーティングも頻度があがるなど、これまでの通勤コストが省かれた分ポジティブな効果も生まれている印象です。

▶︎使われているクラウドツールはこちら

 

アフターコロナに向けて

Q. 今、どのようなことを考えられていますか?

現在のような非常事態かどうかに関わらず、経営者は常に決断を迫られます。

「ビフォアコロナの経営を見直すチャンス」と捉え、物事を客観的に判断するバランス感覚が問われてる段階が今なのではないでしょうか。

今回融資を受ける際の考えの大元には、財務スクールで学んでいる時に講師だった上間喜壽氏から言われた「経営は家計簿ではない」という言葉がありました。

借金は決してマイナスではなく、返済できる体力をきちんと見極めることが重要。

経営者は計画したその未来に向けて行動しなくてはなりません。だからこそアフターコロナの社会を率先して想像し、まず経営者が前を向かないとスタッフもその家族も守れないなと強く思っています。

Q. 不安はありますか?

当たり前ですが・・融資は返済義務があります。経営者は「どこまでリスクを取って行動するか?」という決断を迫られており、融資はその覚悟の現れでもあるのかなと思いました。

一年間の据え置き期間後の社会は誰にも正確には予想できないので、返済が計画通りにならない状況ももちろんありえます。

しかし、融資元の銀行から「その際は早めに相談してほしい」という言葉があり、それについては心強く感じました。とはいえアフターコロナが以前と同じ環境下であるはずがないので、迅速な経営判断と変革を重ね続けることだけが事業継続の唯一の方法でしょう。

Q. 今後の計画について教えてください

今回のような外的要因の有無に関わらず、経営(起業後)の出口戦略を日頃から少しでも考えておくことは重要なのかもしれません。出口としてあげられるのは以下の5パターン。

・上場(IPO)
・株式譲渡(手放す)
・事業譲渡(大企業に多い)
・廃業(中小の30〜40%)
・倒産(中小の30〜50%)

これらを踏まえたうえで「継続」にフォーカスした際、「中小企業経営者として生き残る10%になるための施策をコロナ前に行動できていたか?」と自分自身に問いかけてみました。

そのうえで今後はリスクマネージメントをネガティブに予想しつつも、今までの業務にとらわれない在り方を常に意識していこうと考え中です。具体的な洗い出しとして次のようなことに取り組むつもりです。

・業務内容の見直し
・社員/外部スタッフの仕事量対価調整
・業界経済状況予測
・追加資金調達
・経費削減
・事業戦略見直し(融資後のKPI施作)
・助成金・補助金等の申請

幸いにもリモートワークで仕事ができる以上、医療従事者をはじめとする社会インフラを支える人や、困っている人の役に立ちたいと気持ちを全社員共通で感じています。

理念である「利他主義」により一層磨きをかけながら、健全な社会は「人々が旅行やアートにコストをかけられること」だと捉え、その社会に貢献できるような自社発のプロジェクトの展開を計画中です。

 

他の事業者の皆さんへ メッセージをお願いします

変化したあとの社会では今までと同じ形のビジネスは破綻してしまう可能性が大きい。なので”今の状況を保つためだけに受ける融資”という意味での融資を選択することはおすすめできません。

ビフォアコロナの状況や今の状況を維持するための借金ではなくて、アフターコロナを生きていくための借金という認識の仕方をおすすめします。

「新しい事業にトライしたいから」という理由では、もちろんコロナ対策支援の融資は受けられませんが、返済していくためにはアフターコロナの社会を想像しながら事業を構築していくことが求められるでしょう。

また、webサイト全般について現在何かお困りなことがあったらお気軽にご相談ください。無料で受け付けています。

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