2020年10月15日未分類

【イベントレポート】本質を見失わないニューノーマルの提案。【Hello! New Normal 沖縄観光産業のニューノーマル。第4回】

これまでゲストを招いて、新しい観光のあり方についてお話しを伺ってきた、「沖縄観光産業のニューノーマル。」シリーズ第4弾。

今回はこれまでのトークイベントの内容をまとめ、次に活かすためのディスカッションを行う。観光に携わる/関心のある若い世代がディスカッションオーナーとなり、本質を見失わない沖縄観光の「あたらしいふつう」について4つのテーマで議論しました。


今回の主役は「わたしたち」

これまでのゲストを招いたトークセッションとは異なり、今回はディスカッションをリードする、県内の若手を招いて開催しました。

ディスカッションオーナーとテーマ

【地域】稲福政志(琉球大学4年次)
【インバウンド】宮城アンナメイ(インバウンド関係業務勤務)
【教育×環境】白石綾(地域づくりコンサル勤務)
【食】北林大(スローフード琉球)

ディスカッションオーナーは、さまざまな形で直接・間接的に観光業に関わる若手です。

また、視聴だけでなく、実際に議論に参加したい!という参加者も募集し、当日はZOOMで直接議論に参加いただきました。

ディスカッションオーナー以外のZOOM参加者も、DMOや旅行事業者、宿泊業、地域おこしや特産物開発、そして教育事業等に携わる20〜30代が集まりました。

「観光」の本質とは?

まずはディスカッションオーナーとのオープニング・セッション。
これまでのイベントを振り返りながら、まず議題となったのは、タイトルにもあるように「観光の本質とはなんだろう?」ということです。

3回のトークセッションを視聴してきた稲福さんは、海がきれい、などの他の場所でも再現されるような価値以上に、人との交流の中で感じる繋がりが本質なのではないかと提案。白石さんそして北林さんは、観光はその地域の文化や独特なものに触れに来ることが目的だと話し、地域の生活を第一として成り立っていることの重要性についても強調。一方宮城さんは、「産業」であるからには、その経済的な利益が地域に還元されるべきであることについて言及しました。

ブレイクアウトセッション

さて、ここからは、ZOOMの議論参加者も交えてのブレイクアウトセッションです。ZOOM内で各テーマに別れ、それぞれ

・各テーマの視点から考える観光の「本質」
・本質を守りつつ、変わりゆく状況や従来の課題を解決するような具体的な提案

について議論しました。

各ブレイクアウトセッションの様子は非公開ですが、それぞれ「時間が足りない!」というくらい、話が盛り上がったようです。

配信では、モデレーターの中村さんと、Lagoonスタッフ石垣が、コレまでのイベントを振り返りながら、観光の新しい形について話し合いました。

これまでも、VRとの融合、「体験」を先取りした上で地域とのつながりをつくり、移動する旅のあり方の可能性、望ましいと思う形態の観光を、今のうちにつくりあげておき、それが「あたらしいふつう」として認識されるような体制を今つくりあげておくなどのアイデアが出ました。

地域×観光チーム―「関係人口」

稲福さん率いる地域×観光チームでは、国頭村で共同売店を営む小山内さんなどが参加。共同売店の取組みなどをヒントに、出てきたキーワードは「関係人口」でした。

共同売店でも色々なイベントをしつつ、消費するだけではなく、地域と交流できる場所とし、その後の繋がりにもなっていく仕掛けをつくることを提案しました。

 

観光×インバウンドチーム―「安心・安全・快適」

宮城さん率いるインバウンドチームは、「安心・安全・快適な沖縄」を発信することの大切さについて話しました。行き先として選んでもらうためにも、この情報発信が必要不可欠だと主張しました。

また、その他にも
・観光地としてコンセプトを持ち、沖縄全体の観光に統一性をもたせる
・民間DMOの発足と予算の確保
・「健康」というキーワード
などのアイデアが、それぞれ参加者から提案されました。

 

観光×教育×環境チーム―「楽しみながら理解する」

白石さん率いる教育×環境チームは、観光の本質を「地域との関わりや地域の暮らしを知ること」と捉えました。地域への理解を通して、その地域の抱える問題についても理解が深まるのではという考えです。

さらに、それに楽しみながら関われることも重要だと強調します。そのために、
・子どもたちが地域を案内するツアーを行う
・ハッシュタグで「沖縄に来たらビーチクリーン」と発信する
というアイデアが提案されました。

観光×食チーム―「食を通して深める」

北林さん率いる観光×食チームは、「実体験をすることで自分の経験にちゃんとなること」だとし、その地域独特の経験を通して、自分の考え方などをブラッシュアップできることに価値があると話しました。

そして、どんな観光客も必ずそこで「食」にふれます。
その食がきちんと地域の背景を伝えるものであることが重要であり、また、第一次産業の様々な問題を解決するヒントにもなりえるという観点から、提案がなされました。

多良間島から参加した波平さんが紹介してくれたのは、「じゃんきむぬー*」という地元の料理。新築の建物のスラブ打ちの際に食べる、てんぷら、かまぼこや三枚肉などがBBQのように串に刺さっている食べ物です。

提案したのは、レストランなどでQRコードを読み取ると、料理の背景とともに、生産者の思いや材料についての詳細を伝えるしくみ。
生産者や料理の後ろにある文化についても伝えられると同時に、生産者のやる気向上にも繋がるのではないかということでした。

「じゃんきむぬー」についてはこちらを参考にどうぞ。
宮古毎日新聞 スラブ打ちで振る舞われるごちそう「じゃんきむぬ」

 

これから

今回の議論を通し見えてきた観光の「本質」は

・地域の人や文化、自然とのつながりに価値があること
・住んでいる人、生活とのつながりから、地元側と訪問する側のどちらにも価値が生まれること
・その地域ならではの独自性が伝わること、維持できること

といったことであることが見えてきました。
また、最後には自分の地域を自分たちがきちんと知ることの大切さについても話されました。

今回の議論で出てきた具体的な提案についても、今回をきっかけにできたチームで話を続け、実現するために、Lagoonも全力で応援していきます!