2024年7月10日イベントレポート

【イベントレポート】金融機関から学ぶ融資入門セミナー

6月19日(水)に、沖縄振興開発金融公庫と琉球銀行の融資担当者さんをゲストにお招きし、金融機関から学ぶ融資入門セミナーをLagoon KOZAで開催しました!

本イベントでは、ゲストとしてご登壇いただいた沖縄振興開発金融公庫の比嘉さんと琉球銀行の高良さんに、「民間金融機関と公的金融機関における支援メニューの違い」や「事業計画書作成時のポイント」など、これから融資を検討されている方々が気になるポイントについてお聞きしました。

イベント当日は約20名の参加者が集まり、融資に対する関心の高さが伺えるイベントとなりました!

そんな「金融機関から学ぶ融資入門セミナー」の様子をご紹介します!

ゲスト紹介

沖縄振興開発金融公庫

比嘉 聡さん/上席調査役

那覇市出身。県内ラジオ局のアルバイトや市役所の非常勤職員を経て、2004年に沖縄振興開発金融公庫へ入庫。
融資部門への配属が比較的多いが、債権管理や経営部門等の分野も経験している。既に東京を含む全ての支店に配属経験があり、各地域ごとの雰囲気は一通り肌で感じている。
現在は中部支店業務第二課に所属、創業融資や大口の既往先に対する融資を主に担当している。


琉球銀行

高良 伊久磨さん/事業性営業担当 副長

2013年4月に琉球銀行に入行。リテール営業や融資業務を担当。2020年4月から法人事業部に配属し、海外展開支援担当として勤務。台湾駐在も経験している。
台湾駐在後スタートアップ支援担当に従事し、アクセラレーションプログラムの運営やファイナンス支援(融資・出資)を担当する。
2024年から赤道支店に配属。事業性営業(主に融資)の統括者を担当している。

モデレーター紹介

琉球ミライ株式会社

平良 亮太/Lagoon KOZA事業責任者

1994年那覇市生まれ、琉球大学 政治国際関係専攻を卒業。
在学中に株式会社がちゆんの立ち上げに携わり、
年間100校1万人を超える中高生を対象にアウトプット型の平和学習ワークショップを企画運営。
卒業後、株式会社FROGSにて琉球frogsの運営に携わり、琉球frogsのファンドレイジングやPR、都市型フェスLEAP DAYの広報を担当する。
2021年からLagoon KOZAの運営に従事し、年間300件超の創業相談や、100回超のイベントを企画運営を行う。

融資とは?出資と融資の違いは?

イベントは、沖縄振興開発金融公庫の比嘉さんと琉球銀行の高良さんの自己紹介から始まり、お二人に「融資とは?」「融資と投資の違い」についてご説明をいただきました。

特に株式会社だと融資・出資どちらも選択肢に入るので、悩まれる方が多いようです。

どちらの資金調達手段が良いか悪いかではなく、出資・融資どちらにもメリットとデメリットがあることをご説明いただきました。

また、今後どのように事業を成長させていくのか、どのように進めていくのかなど、目的や方向性によってどちらかの資金調達手段を適切に選ぶことが大切だとお話しいただきました。

大まかな融資までの流れ

次に、実際に融資が実行されるまでにどのような手続きや準備が必要なのか、公的金融機関と民間金融機関における支援メニューの違いも含めてお二人にご紹介をいただきました。

公的金融機関と民間金融機関大まかな融資の流れに大きな違いはありませんでしたが、お二人とも共通して重要なポイントは「創業計画書の作成」とおっしゃっていました。

理由としては、創業計画書の必要項目を埋めることで、融資を受ける際に必要な情報をまとめることができます。
融資を受ける際にまだ創業計画書を書いてない方は、まずは創業計画書を作成するところから始めましょう!

また、金融機関の窓口や各市町村の商工会、Lagoon KOZAなどの支援機関で創業計画書の作成サポートを受けることができますので、これから創業計画書を作成する方はご活用ください。

融資に至るまでに注目すべきポイント

続いて、融資に至るまでに注目すべきポイントについて、民間金融機関・公的金融機関のそれぞれの目線でお話しいただきました。

琉球銀行さんの高良さんは下記の3つをポイントとしてあげていました。

  1. 最低限の自己資金を用意する
    融資を検討する際はできるだけ自己資金を用意すること、自己資金の目安は融資希望額の10~20%
  2. 壮大な創業計画になっていないか
    例えば、月100万円の売上を見込んでいる場合は、月100万を売り上げる根拠をしっかり示せるようにすること
  3. 事業計画に矛盾はないか(きちんと説明ができるか)
    創業資金額が壮大になると金融機関としては貸しづらくなる。創業初期はどれだけ小さく初めて大きくしていくかが基本!

続いて、沖縄振興開発金融公庫の比嘉さんは、下記の3つをポイントとしてあげていました。

  1. スモールスタートになっているか
    融資の平均額は700~800万円!最低限の開業資金で、最大のパフォーマンスが出るような事業計画になっていること
  2. 貯蓄を含めた自己資金の有無
    公庫には自前の口座がないので、融資検討者の銀行口座に3ヶ月から半年間の積み立て履歴も確認する。自己資金の目安は事業費の3割
  3. 創業事業に関する実務経験があるかどうか
    2年程度、創業事業に関連した仕事に勤めていたかどうかも重視する(アルバイトでも可)

お二人のお話を踏まえて、融資に至るまでに注目されるポイントは、貸したお金がちゃんと返済されるかどうかを見極めるポイントとなっている印象を受けました。

また、共通点として「自己資金の有無」と「スモールスタート」の2つがありました。
民間金融機関・公的金融機関のどちらを利用するにしても、上記2つのポイントは押さえておくべきポイントだと思います!

融資事例を踏まえて融資について考える

ここからは、実際にこれまでの融資事例を見ながら、融資担当者から見た評価ポイントについてお二人に伺いました。

今回は以下2件の融資事例をトーク形式でご紹介しました。

開業事例①

ひとつ目の事例では、県内ホテルの廃棄リネンをアップサイクルし、一般向けのシャツや、ホテルの授業員制服を作成するアパレルブランドの会社さんを紹介しました。

この案件では、『沖縄創業者等支援貸付(新規市場創出・活性化関連)』という、制度を適応しました。
この制度は、事業計画書の内容に独自性を持たせ、なおかつ融資を受けるご自身の実務経験がないと、滅多に適応できないものになります。

なるほど、、、!
珍しいパターンの案件だったんですね!

公庫の評価ポイントとしては、以下の3点になります。

①代表者の方がアパレル関係の実務経験があること

②沖縄市より特定創業支援等事業の認定を受けていたこと


③Lagoon KOZAの創業相談を活用し、自身の実務経験を活かしたデザインの独自性、具体的な仕入れ先や販売先を明確にしていたこと

実はこの案件は、私が創業相談を担当し特定創業支援等事業の認定を行いました。
また融資を受ける前の資金調達施策としてクラウドファンディングに取り組まれ、今までに類を見ないスピードで目標調達額を達成されていました。

このようにクラウドファンディングで資金調達を達成した実績などは、融資を受ける際に評価されますか?

販売実績などは、断然あった方が良いです!
起業・創業前に、商品・サービスを試しに作って販売してみたという経験は、少なからず評価に影響があるのかなと思います。

例えば飲食店を開業予定の方が、マルシェイベント等でテスト販売を行なっているなどの経験がある場合は、融資を受ける際にプラスの評価になりますか?

公庫としては、そこも評価ポイントとしてみています。
もちろん、商品・サービスのテスト販売経験だけでなく、そこに実績が伴っていたかも重要なポイントになってきます。

ご回答ありがとうございます。
ちなみに、クラウドファンディングに伴い、Lagoon KOZA施設内で展示販売なども実施しておりました!(Lagoon KOZAではクラウドファンディングのサポートなども行っております!)

開業事例②

ふたつ目の事例では、1台あたり単価400万〜500万のバイク販売事業を行う会社さんを紹介しました。

一般的な開業資金が700万〜800万に比べて、この案件では販売するバイクの単価が高いため、当面3ヶ月の仕入れ資金から店舗改装費用を含めた開業資金が約1,800万になりました。
この金額を公庫単体で抱えることは難しいと判断し、民間金融機関と協調融資を実行しました。

※沖縄振興開発金融公庫ではコザ信用金庫、海邦銀行と協調融資の制度を設けている。協調融資とは?

公庫とコザ信用金庫さんとお互いで事業評価をした上で、それぞれ750万ずつ、総額1,500万の融資を成立をさせました。

この案件で注目すべきポイントは、公庫とコザ信用金庫さんで全く同じ条件で、10年の返済期間、返済期間のうち一年の据え置き期間という仕組みが取れたことで、コザ信用金庫さんの評価を得られたことです。
このことから、公庫の制度面も協調融資を誘導しやすくなっています。

※据え置き期間とは、元金返済を猶予され利息のみを支払う期間のこと。

融資担当者としては、スモールステップでの開業をオススメしていますが、
どうしても開業資金が高くなりそうな場合は、協調融資もご検討いただければと思います!

創業計画書公開フィードバック

本イベントへご参加いただいた参加者の方から、事前に作成中の創業計画書をお預かりし、ゲストのお二人から創業計画書の作成時のポイントや、融資担当者がよく見るポイントについてお聞きしました。

①融資担当者が一番最初に目をつけるポイントとは?

創業計画書が提出された際に、一番最初に目をつけるポイントはどこになりますか?

まず最初に略歴を見ます。
今まで何をされていて、何をしたいのかを見ます。

私は、創業動機を一番最初に見るようにしています。
融資をご検討いただいている方がなぜこの事業で創業するに至ったのかがわかる創業動機は、公庫が融資を出せるかどうかを判断する大事なポイントになってきます!

先ほど実務経験が大事とはお話ししましたが、創業動機が詳しくお聞きできないと、わたしたちとしても相談に乗ることができないかなと思います。

Lagoon KOZAでも、よく融資に関する創業相談にいらっしゃる方から資金計画の立て方や計画の妥当性について相談をいただくんですが、融資相談では「なぜ創業するのか?」など創業に至った背景も見られているんですね!

個人の創業ストーリーをしっかり確認することで、相談者さまの人となりも見ていますね。

②運転資金や事業の見通しについて

ありがとうございます!
運転資金の部分に関してはどういう印象を受けますか?
もっと詳しく内訳を書いたほうがいいなど、アドバイスはありますか?

ここに書かれているものは、ほとんどテンプレート通りの記載になります。
公庫の評価ポイントとしては、事業の見通しに記載されている経費内訳を見て、何ヶ月分の見通しを立てているかをを特に確認しています。

ここで参考までに、
業種によって異なりますが、公庫では開業後3〜6ヶ月の資金を運転資金の対象としています。
ゼロから創業される方の場合だと、店舗を借りる際に発生する仲介手数料等の初期費用も運転資金の対象になります。

ありがとうございます。
Lagoon KOZAの創業相談でも「どこまで運転資金に入るんですか」、「お客さんを獲得するためにSNS広告をかけたいんですが、運転資金に入りますか?」とよく質問をいただきます。

実際に、広告宣伝費なども運転資金に含まれるんですか?

広告宣伝費はもちろん運転資金に含まれます!

ただし、、、!
運転資金は青天井なので、かけすぎても査定されますし、かけなさすぎても疑われます!(笑)

極端な話をすると、「SNS等の広告費は無料でできますので、広告費はかかりません」という方もいらっしゃいます。
そのため、どんなターゲットに向けて、なぜ広告費をかけて広告を出すのかを説明できるようにしなければなりません。

逆に融資担当者の方から、「この部分はお金をかけた方がいい」とアドバイスすることもあるんですか?

もちろんあります。
費用対効果が見込まれる部分にはしっかりお金をかけた方がいいですし、不要な部分は減らすということは必要です。
そこはわたしたちからもアドバイスをさせていただきます。

ありがとうございます。
融資をご検討されている方の中には、割と融資相談へ身構えて行かれる方が多数いらっしゃると思います(笑)
どんな方が担当者になるかわからないことも要因だとは思いますが、気軽にアドバイスなどもいただけるんですね!

③別紙資料は必要か?

今回創業計画書を提出いただいた方からは、別紙資料も預かっています。
一般的に融資相談に来られる方は、みなさん別紙資料も準備されているんですか?

飲食店さんなどのスモールビジネスをお考えの方で、別紙資料をご準備いただくケースはあまり無いかと思います。
特にベンチャー企業さんやスタートアップ企業さんですと、別紙資料をご準備いただいてしっかり事業内容をご説明いただくことが基本的に多いです。

公庫の事例としては、個人事業主として開業される方は創業計画書のみで事足りることが多いです。
別紙資料をご準備いただく方は、何かしらの創業支援を受けている方がほとんどです。
例えば、税理士さんの指導のもと創業計画書を書いてきた方やLagoon KOZAさんのように創業スクールを受講してきましたなどがあります。

融資担当者の方から見て、別紙資料はあったほうが喜ばれますか??

数字の根拠など、創業計画書を書ききれない部分を補足するような形で別紙資料をご準備いただいていると思いますので、無いよりはあった方が良いと思います。

具体的な内容がわかるので、私としてはあった方がありがたいです!

別紙資料の中で「このページや情報が記載されていてよかったな!」と思う、項目などはありましたか?

一般的に創業計画はコンパクトにまとめてくださいと言われていますので、創業計画書のテンプレートにはご自身の課題を書く欄はありません。
ただ、ご自身や事業の課題をちゃんと理解した上で、別紙資料等に記載されていると、融資担当者としてはポイントが高いです!

やはり、ビジネスモデルの俯瞰図のところですかね。
文章よりも図式化されていると、担当者としてはより理解しやすいかと思います。

最後に

トークセッション終了後には相談ブースを設置し、参加者のみなさんからゲストのお二人に積極的に質問されている様子が見られました。
参加者からは、「融資について補助制度や審査過程・方法、協調融資等貴重な情報が得られました」「直接専門の方のお話が聞けるだけでなく、質問や相談の場を設けていただき勉強になりました」などの声をいただきました!

Lagoon KOZAでできること

Lagoon KOZAの使い方 創業相談編

最後に、現在融資をご検討され、事業計画書の作成サポートや添削をご希望される方は、ぜひLagoon KOZAの創業相談をご活用ください。
支援経験の豊富な担当スタッフが、アイデアの壁打ちから、融資相談の同席まで一貫したサポートを行います。

作成いただいた創業計画書をお持ちいただければ、金融機関の窓口でもLagoon KOZAの創業相談窓口でも、お気軽にご相談いただけます!

また、Lagoon KOZAでは「特定創業支援等事業」も行なっております。
※各市町村の商工会でも受けることができます。

「特定創業支援等事業」の認定を受けることで、沖縄振興開発金融公庫さんの融資要件が緩和されたり、法人登記の際の登録免許税が半額になったりと創業初期のスタートダッシュに最適な支援メニューですので、こちらもご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。

また、Lagoon KOZAの使い方/創業相談編の動画でも、創業相談でできることや特定創業支援等事業についても詳しくご紹介しております。こちらもぜひご覧ください。